ハイヤー乗務員と並んで比較・混同される事の多い『役員付運転手』という職業をご存知でしょうか?
その名前から、企業の役員を乗せる運転手であろう事は想像出来ると思いますが、ハイヤー乗務員とは違うのか?違うとしたら何が違うのか?どちらがオススメの転職先なのか?といった詳細はご存知無い方がほとんどでしょう。
この記事では、ハイヤー乗務員と役員付運転手の違いについてご説明致します。
役員付運転手とは?
ハイヤー乗務員と役員付運転手の違いは、実は厳密には定まっていません。現にハイヤー会社の求人に【役員付運転手の募集です!】などと書かれたりしている事も珍しくありません。
それでは何が違うのかと言いますと、慣例的にではありますが、雇用される会社がどこなのか?で区別されるのが運転手業界の一般的な認識となります。
- ハイヤー会社に雇用され、『お客様』を乗せるのがハイヤー乗務員。
- 特定の企業に雇用され、『上司』を乗せるのが役員付運転手。
という訳です。
役員付運転手は、その企業に社員として雇用されている事からプロパードライバー(proper driver)と呼ばれる事もあります。プロパーとはビジネス用語で(派遣ではない)正社員を指す言葉ですが、英語としては誤用だそうなので気を付けましょう。
前述の通り、ハイヤー会社に雇用されたハイヤー乗務員でも、職種では無く業務内容として役員付運転手と呼ばれる事もあってややこしいので、この記事ではプロパードライバーと記載致します。
基本的に日々の運転業務に関して言えば、ハイヤー乗務員とプロパードライバーに大きな違いはありません。
それ以外の部分には様々な相違点がありますので、メリット・デメリットとして見ていきましょう。
プロパードライバーのメリット
高待遇
プロパードライバーを選ぶ一番のメリットは待遇面が挙げられます。
あくまでも会社に依りますが、一般的にはプロパードライバーの方が給料や休日などの待遇面はハイヤー乗務員より良い事が多いです。
運転手を正社員として直接雇用する程度には財務状況が良い会社であり、年収や福利厚生はその会社の正社員として扱われるからと考えれば納得がいくでしょう。
乗せる人や行き先の固定化
ハイヤー乗務員は担当のお客様が車を利用しない日に、必要に応じて別の単発の仕事をしなければなりませんが、プロパードライバーにはそれがありません。
『山川商事』の社員として運転手をしているのに、夏季休業中に『海空不動産』の運転手をする訳がないのです。普段は山川商事の社長車をしているが、社長の休暇中に専務を乗せるなどはあるかと思いますが。
様々なお客様を乗せる事も、マンネリ防止や地理の習熟というメリットもありますが、決まった人しか乗せない方が精神的に楽なのは言うまでもありません。
従うべき相手が明確
ハイヤー乗務員はあくまでもハイヤー会社の社員なので、ハイヤー会社の方針に従わなくてはなりません。お客様からの要望に対しても、会社を通さず即答してはいけない事もままあります。
プロパードライバーは乗せる相手が所属する会社のトップなので、その点においてシンプルです。言葉は悪いですが、とりあえず従っておけば問題無いので、余計な気を回して神経を擦り減らす事がありません。
プロパードライバーのデメリット
乗せる相手と一蓮托生
例えば社長車運転手として雇用されていたとしてま、社長が代替わりするとドライバーも新しい人に代替わりさせる企業が多いです。
副社長や専務常務など他に運転手を担当できる役員がいれば良いですが、いなければ雑用ばかりの窓際社員に配置転換させられたり、最悪は何かしら理由を付けて実質的な解雇となるケースもあるそうです。
ハイヤー乗務員なら新たに他のお客様の担当になって、新しい仕事へ行くだけの話しで、よくある事にすぎません。
また、乗せる方との相性も重要です。ハイヤー乗務員なら、どうしても相性の悪いお客様であれば担当替えで逃げる事も出来ますが、プロパードライバーとなると退職するしか逃げ道が無いのです。
業務内容が定まらない
ハイヤー乗務員はお客様の移動予定が無い待機時間は比較的自由に過ごせますが、プロパードライバーの多くは待機時間中に運転以外の業務を課せられます。
電話応対や書類整理などの雑用が多い様ですが、総務室や秘書室など他の社員の目がある状況ですし、のんびり過ごすという訳にはいきません。
また、休日に急に電話で呼び出されて車を出さなければならない事も、稀にはあるそうです。
いずれにしても直接雇用の正社員であるが故、乗せる方も『自分の部下』という意識があるからと言えます。空いた時間も仕事をさせる、電話一本で急呼び出すなど、無茶な使い方をされる可能性が高くなる様です。
個人タクシーの資格要件に不利
プロパードライバーは旅客運送業ではありませんので、個人タクシーの資格要件における経験年数の算出方法が、ハイヤー乗務員に比べて著しく不利になります。
年齢や地域によって条件に違いがありますが、もし将来は個人タクシーをやりたいと考えるのであれば、いずれかのタイミングでハイヤー乗務員かタクシー乗務員への再転職が必要になります。
プロパードライバーはハイリスク・ハイリターン
プロパードライバーには待遇面などのメリットがあるものの、当たり外れのリスクが高いというデメリットがあると言えそうです。
外れを引いてしまったら転職すれば良いのかも知れませんが、無用な転職は出来るだけ避けたいものです。
あくまでも私見ではありますが、先ずはハイヤー乗務員として就職し、運転業務に慣れつつ良いプロパードライバーの求人を探す方が良いと思います。
ハイヤー乗務員として担当したお客様に気に入って頂き移籍した例もありますし、ゴルフや会食の仕事でプロパードライバーさんと話す機会を得て紹介された例もあります。
就職先は人生を左右する一大事です。先ずは安定性のあるハイヤー乗務員として経験を積みながら、しっかりとステップアップ先を探すべきではないでしょうか。
オススメのプロパードライバー求人
私自身はプロパードライバーの経験はありませんが、経験のある先輩乗務員や現役のプロパードライバーさんから話しを聞く機会がありました。そこから得た【オススメできるプロパードライバーの求人】を紹介します。参考までにどうぞ。
官公庁のドライバー
旅客運転手の憧れの的と言っても過言ではありません。公務員待遇で給与休日は文句無し。お役所ならではの分業化で運転以外の雑用も少ないそうです。
ただその求人はほぼコネで、一般に求人が公開される事は滅多にないのがデメリット。もし官公庁ドライバーさんと話す機会があれば、ダメ元で恥も外聞もなく連絡先を交換すべき!ですね。
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