「ハイヤー乗務員は休みが少ない」「休日に急に呼び出される」そんな噂を聞いた事があるかも知れませんが、本当なんでしょうか?
ハイヤー乗務員の年間休日は105日前後
多くの求人サイトの絞り込み条件には『年間休日120日以上』という項目があります。つまり年間休日が120日以上あれば、その企業や職種は比較的休日が多いと言えそうですね。
ハイヤー乗務員の年間休日は100〜110日くらいであるケースが多いので、ちょっと休みは少ない職種だと言えそうです。
年間休日の内訳
多くのハイヤー乗務員の勤務は月に22日前後のシフト制です。シフト制といっても、基本的に平日を出勤で埋めて足りない日数を休日出勤で埋めるスタイルですので、感覚としてはカレンダー通りに近いですね。
こうして月単位で見ると、あまり休日が少ない印象は受けないかも知れません。
確かに6月や9月など休日の少ない月は意識しないと思いますが、ゴールデンウィークや年末年始などカレンダーに休日の多い月は「休日が少ない…」と実感すると思います。(そんな時は大体、有給休暇を取得しちゃいますけど)
いずれにしても、月平均22日出勤として年単位で見れば、
365日-(22日×12ヶ月)=101日
と言う計算になります。これに加えて、各自で有給休暇や慶弔休暇を取得しているのが実態です。
シフトの調整は可能?まとまった休みは取れる?
休日の日数が少ないなら、せめていつ休めるかは選びたいものですね。もちろんシフトの調整も出来ますし、有給休暇を絡めて連休を取得する事だって可能です。
しかしどんな仕事でもそうですが、自分の都合だけで勝手に休みを決める事は出来ません。
シフト変更や、有給休暇取得の際に注意すべきポイントを確認してみましょう。
既に決まっている運行予定は守る
運行予定が決まっているという事は、その運行にあたる乗務員や車両の情報がお客様に伝わっているという事です。それを自分の都合で覆すのは、お客様に迷惑をかける事になりますので厳禁です。
忌引きや体調不良など、やむを得ない場合は別ですが、一度引き受けた運行予定を反故にする様な休暇取得は許されません。休みたい予定があるのならば、会社や先方の秘書様へ早めにお断りを入れておきましょう。
ハイヤー乗務員はお客様だけでなく、自身の予定の管理も必要だという事です。
シフトの出勤日数は満たす
ハイヤー乗務員はハイヤー会社に勤務する会社員ですので、会社が定める規定出勤日数は守る様に努めなければなりません。
もちろん有給休暇を取得すればこの限りではありませんが、繁忙期などには出勤を頼まれたり、有給休暇の取得を渋られる事があります。そんな時でも労働者の権利を主張して、強行的に休暇を取得する事も出来ますが…オススメは出来ません。
配車デスク(乗務員に仕事を振り分ける部署)も同じ職場で働く人間です。普段から恩を売っておけば、いざと言う時にこちらの要望を聞いてくれますし、逆もまた然り。持ちつ持たれつの気持ちは大切と言う事です。
連続勤務可能な日数を超えない
ハイヤー乗務員は安全な運行を確保するため、適度に休日を取る事が義務付けられています。
「月末に8連休が欲しいけど有給休暇を消費したくないから、月頭から22日間連続で勤務します」
という希望は通らないと言う事ですね。
改めて書き出してみましたが、いずれも社会人として常識的な範囲だと言えるのではないでしょうか。
あくまでも私の体感ですが、プライベートでも計画性をしっかり意識していれば、休日の自由度に不満を感じる事は少ないと思います。
休日が潰れる事はある?
当日の呼び出しは皆無!
「サム夫さん!休みのところ悪いけど、今すぐ迎えに来て!」
こんな電話が来て休日の予定がオジャンに…
そんな経験1度もありません!同僚からも聞いた事がありません!
何故ならハイヤー乗務員はハイヤー会社の社員であってお客様の部下ではありませんし、車両もハイヤー会社の所有物だからです。
いくら大切なお客様とは言え、他社の財産である社員や車両を好き勝手には使えません。また、お客様の契約の対象は乗務員個人ではなくハイヤー会社ですので、業務の追加依頼は会社を通さなければなりません。
つまり、仮にお客様が乗務員を呼び出したとしても、
- 乗務員が会社に連絡しつつ出社
- 車両点検をして出庫
と言う手順は避けられませんので時間が掛かります。お客様からしても、お急ぎならタクシーを呼んだ方が早いし便利なんです。
更に言えば、呼び出された乗務員が飲酒していたり遠出していたら運行は不可能なので、代務(他の乗務員が業務にあたる事)で業務にあたる事になります。
担当乗務員が運行不可の場合でも、代わりの乗務員がすぐに手配出来るのは、お客様がハイヤー会社を利用するメリットなのです。
ハイヤーをご利用になるお客様は上記の内容をよくご存知ですので、休日当日に急に乗務員を呼び出すなんて無茶な事は、そもそもなさらないのが実態です。
プロパードライバーだと…
休日に急に呼び出されて…という話しは、お客様(の企業)が直接雇用する運転手(プロパードライバー)の話しなのかも知れません。
直接雇用となると運転手はお客様の部下で、車両もお客様の会社の所有物。労働基準法的には分かりませんが、心理的には急な業務指示も頼み易くなるでしょう。
運転手さん側からしても直属の上司(場合によっては雇用主)からの指示を断るのは相当にハードルが高いと思われます。
レアケースかも知れませんが、私も実際にそういう経験をされたプロパードライバーさんから話しを聞いた事はあります。
数日前〜前日の依頼はアリ
ハイヤー乗務員の仕事に、急な予定変更は付き物です。
元々は予定の無かった週末に出張が入った、取引先からゴルフの誘いを受けた。
そういった場合の運行を依頼される事は多々あります。しかしそれも前述の通り代務を立てられますので、乗務員本人の運行はお断りする事は可能です。
ただ、担当のお客様からの依頼は極力お受けする乗務員が多いのが実態です。
毎日お乗せするお客様からは良く思われたいものですし、何より自分を信頼して頂いている気持ちに応えたいと考える乗務員が多いのです。
もちろんどうしても外せない予定があれば、丁寧にお詫びを申し上げて代務をご了承頂けば、何の問題ありません。
休日の過ごし方
もちろん休日なのですから自由に過ごす事ができます。家族サービスするも良し、趣味に没頭するも良し、旅行に出かけるも良し、ひたすらノンビリするも良しです。
仕事に慣れていない新人さんの中には、勉強がてら首都高ドライブとか、家族や知人を乗せて運転を評価してもらう等の努力をしている人も少なくありません。
もちろん強制ではありませんが、そういう努力をしている人の方が慣れや成長は早いですし、活き活きと仕事をしている様には見えますね。
休日とは言え飲み過ぎには注意!
毎日乗務の前にはアルコールチェックを行いますが、これは酒気帯び運転の判定基準値よりも厳しい基準値で行っています。
前日のお酒が残っていて乗務不可!なんて事になると厳しいペナルティが科せられます。普段から乗務前日の飲酒を禁止している会社もある程です。
休日だけでなく平日にも言える事ですが、お酒は飲んだ量とアルコール度数を常に意識していないとハイヤー乗務員は務まりません。
運転免許証は飯のタネ!
プライベートでは運転しちゃいけないなんて事もありません。むしろ運転技術の向上に励みましょう。
ただし!違反と事故にはくれぐれもご注意を。
ハイヤー会社は定期的に乗務員の運転記録証明書(過去5年分の事故違反歴が記された公的書類)を取得していますので、プライベートでの違反や事故も明らかになります。
あくまでも業務外なので厳しく叱責はされないと思いますが、点数の累積による免許停止で乗務不可となると話しは別です。これも厳しいペナルティが科せられます。
乗務員にとって運転免許は大事な飯のタネです。くれぐれも免許に傷を付けない様に。
まとめ
一般的な会社員に比べて、ハイヤー乗務員の年間休日数がちょっと少なめなのは事実です。
更に担当のお客様への対応によっては、休みを取る自由度も犠牲になってくる可能性があります。
休日の実態は『恵まれてる』とは言い難いかも知れません。
とは言え、安全な運行の確保の為にも休みは必要です。国土交通省からの指導もあり、会社も乗務員の勤怠管理をしていますので、必ず必要な休みは与えられます。
休める時にはしっかり休んで、心身共にリフレッシュするのもハイヤー乗務員の仕事のうちなのです。
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